南岩国の古家
父君が他界された後、空き家となっていた家です。明治初期に建てられた家、幼少からの記憶を変えたくない。開放的な間取りはできるだけそのまま残し、かつ、住みやすい家にしたいとの要望でした。街からかなり山に上がった、はるか眼下に海を望む立地が幸いしてか、床下環境は驚くほど良好でシロアリの被害がほとんど見られない特異なケースでした。20年ほど前に瓦は葺き替え済み。天井、壁、床をすべて壊して骨組みだけの状態にし、そこから新築同様に作り込んで行きました。台所として増築されていた建屋は風呂とトイレに、付属の納屋の一部を取り込んで寝室を作り、母屋と床続きにしています。解体した壁土を再度練り直して壁に塗り、漆喰で仕上げています。居間部分の天井を取っ払い吹き抜けにしたら、やはり冬は寒く、数年後に薪ストーブを設置。これは当初より計画していたこと。設置の時には既にご主人の手によって薪は庭にうずたかく積み上げられていました。当時見習い3年目だったK君と二人で、竣工までほぼ1年。(2013年)