米川の床の間

「これからこの家の面倒を見てほしい」と、80歳を過ぎた大工さんから、私に後を託してもらいました。昭和の時代、裏山から松の木を切り出してその場で製材、木ごしらえ、刻んで建てたという家。二間幅の本格的な床の間でしたが、地板と床板は合板に突き板をはり合わせたもの。40年以上が過ぎて表面はめくれてヒビが入り、寿命を迎えていました。他と絡みのない天袋はそのまま残し、地板と床板は杉、違い棚は栃を新たに使って、当初とは少し違うデザインにして修理しました。全て幅広の1枚板なので反り止めの吸いつき桟を入れてあります。 床板にはケヤキなどの堅木を使うことが多いようですが、杉の奇をてらわない落ち着いた感じが私は好きです。(2016年)