黒磯のツリーハウス
何年も前から依頼されていたのだけれども、どの木に作る?どういう形?どうやって樹上で工事する?どうやって木に取り付ける?すべてが初めてのことで精神的ハードルが高くて、通常の仕事が忙しいことを理由にずっと先送りしていました。「ゴールデンウィークまでになんとかできない?」との会話でやっと重い腰をあげました。ホストツリーは楠。敷地は6mくらいの崖上になっていてその崖下から楠が生えています。敷地から1mくらい上がった位置を床に設定すれば楠の根元からは7mの高さ。敷地からスロープを登るように簡単にアプローチができます。大きな材料を釣り上げる必要もなく、工事の危険性も少ないわけです。と言っても舞台の高さは7m。結局下から足場を組んで作業に当たりました。どうやって木に止めるのか?文献が少なくて苦労しましたが、アレスターブラケットというものを発見。市販されていないようなので、図面を書いて知り合いの鉄工所で作ってもらいました。直径3センチのボルトをホストツリーの幹に打ち込み、それにブラケットを取り付けて床となる角材を取り付け、もう1本のホストツリーと新たに立てた柱2本、合計4本で支えて床を作りました。床は杉の9センチ角を敷き詰めました。野ざらしなのでいつか腐る。なるべく長持ちさせるためには材は分厚い方が良いという考えです。床の上に立てた小屋も材料はすべて9センチ角。最も身近で安価な材料です。窓は古建具をカットして作成。網戸は必須。内部は木のベットとひと一人がやっと寝られるくらいのロフトとはしごと棚。屋根上に見晴台。8畳大のデッキの上に3畳大の小屋なので、残りのスペースは樹上のウッドデッキといったところです。デッキ下には長ブランコ。ストロークが長く、大人でも結構楽しめますが、高さ6mの崖の登り降りが必要です。 (2019年)