柳井の船小屋

何年も前からお世話になっている施主さんから再び声がかかりました。船小屋の一部を改築して2階に海を望めるウッドデッキを作りたいとのこと。明治に建てられたその建屋は雨漏りがあり、柱、梁も一部が腐った状態。柱の根継ぎから始まって新たに柱や梁を入れての構造補強、屋根の全面改修、瓦の葺き替え、最後にウッドデッキ工事の工事です。
振れ隅の入母屋に鼻隠しをつけたりして、普段は使わない規矩術の勉強も。
ウッドデッキにする部分は、既存の屋根を解体して新しく梁を組み替えて軒高を低く抑えて、屋根も板金にして2階からも出られるように設計。部材もできるだけ既存のものを使い回し、土壁も、解体した材を再び練り直して使用しました。
8畳大の広さのウッドデッキは檜材を柾目に割いて使っています。水切れもかなり考慮して作ったので、15年、いや20年持ってほしいなと期待しています。
デッキからの眺望は素晴らしく、「ここで酒が飲めたら最高ですね」と施主さんに話をすると、「眺望優先で手すりを低く作ったので、落ちちゃいけないから当面はアルコール禁止」とのこと。広めに作った手すりの高さは、テーブルの高さと同じ70センチ。アルコールが解禁される日が来れば再訪する予定です。(2024年3月)